共同利用

状態遷移拡散過程による水域ネットワークでの輸送現象の数理モデル:理論と実問題への応用


種別 短期研究員
研究計画題目 状態遷移拡散過程による水域ネットワークでの輸送現象の数理モデル:理論と実問題への応用
研究代表者 吉岡秀和(島根大学生物資源科学部 (地域環境科学科生物環境情報工学分野)・助教)
研究実施期間 平成27年7月27日(月)~ 平成27年7月31日(金)
研究分野のキーワード 水域ネットワーク,輸送現象,状態遷移拡散過程モデル,有限要素法,有限体積法
目的と期待される成果 近年,我が国では人間活動に起因する水環境や生態系の劣化が多数報告されており,その緩和・防止策の立案に資する科学的手法の確立には計り知れない需要がある.排水路や河川,湖など地表水の結合である「水域ネットワーク」に焦点を絞れば,水質悪化や水棲生物の生息地破壊,ひいては農林水産業への悪影響が深刻化の一途にある.地表水での溶質の分散や水棲生物の移動は,多様な確率論的要因に駆動され多重的な時空間スケールを持つ「輸送現象」である.輸送現象については,粒子のラグランジュ的挙動を支配する確率微分方程式のひとつ「状態遷移拡散過程モデル」と付随する偏微分方程式系の活用により,その不確実性を一貫的に取り扱う解析が可能である.本モデルは水域ネットワークを1次元水路と水平2次元浅水域の結合,すなわち有向グラフと2次元領域の結合領域とするが,こうした複雑領域での拡散過程の数理構造には未解明の部分が多い.また,モデルの実用性の客観的評価も重要課題である.
以上を鑑み,本研究では上述した状態遷移拡散過程モデルの数理構造の解明と実問題への応用を目的とする.とくに産・官・学連携を視野に入れ,生活・農業排水の流入が起こす水質悪化によるアユなど回遊性魚類の生活環境破壊が危惧されている島根県斐伊川水系とその接続浅水域である宍道湖と中海を対象とし,各種汚濁物質と魚類の輸送現象を考える.本研究は輸送現象に関する理論と応用の双方に迫るものであり,未知なる数理構造の解明という学術的なインパクトに加え,その成果を水環境改善や生態系保全,漁業経営などの実務へ直結させることが期待できる.本研究の遂行は非常に意義深いものと確信する.
組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
吉岡 秀和(島根大学生物資源科学部・助教)