共同利用

マルチスケール数学:集団現象の多階層性と階層の連関


種別 研究集会(I)
研究計画題目 マルチスケール数学:集団現象の多階層性と階層の連関
研究代表者 吉田 善章(東京大学大学院新領域創成科学研究科・教授)
研究実施期間 平成23年12月9日(金)~ 平成23年12月11日(日)
研究分野のキーワード 地球流動学、気象学、プラズマ、材料科学、貨幣モデル、力学系、非線形偏微分方程式、シミュレーション科学、数値解析、確率論
目的と期待される成果  自然災害をはじめとして、現代社会が抱える様々な問題は複合的な要因が複雑に絡みあって起こる。近年、自然現象や生命現象のみならず経済や社会現象までが複雑系という形で科学の対象となってきたが、多くが、社会や産業界のニーズに応えられるほど精密なレベルには達していない。
 複雑系は、無数のミクロな要素が非線形的に結合し、大小様々なスケールの階層構造をなしながら複雑で多様な挙動を示す集団現象である。マクロな階層である集団は、つねにミクロあるいはメソ(中間スケール)との連関をもつ。階層間の結合も非線形的で、一つの階層を他から切断して「閉じたモデル」を作ることはできない;ミクロの世界で起こる「複雑な運動」を「ランダム」と仮定して、統計的な平均と分散だけでモデル化すると、集団の中に生起する豊かな多様性は捨象され、階層を縦断する連関を隠蔽した不適切な評価が導かれる。実際に行われている大規模シミュレーションなどでも、集団現象の最も重要な特徴が「異常○○」として探求の埒外に置き去りにされ、不確定なパラメータやアドホックなモデルに頼った評価が使われている。たとえば、流体の「乱流粘性」、プラズマの「異常抵抗」、破壊・突発現象に係る様々な物質の物性値などは未解決問題として長年にわたって残されたままである。広範なスケールにわたって、ヘテロな物質状態が同居する地球内部、大気と海流そして宇宙が連関する気象、あるいは、大規模で複雑な人工物の設計や制御において、不確実性を克服し精度をより高めるためには、ミクロな構成要素とマクロな系のダイナミクスを多階層的に理解し、評価や予測に活かすせるモデルを構築すること求められる。その基盤となる数学も、これまでにない観点からの研究が必要となる。

 本研究集会では、多階層(マルチスケール)構造をもつ集団現象を集め、ミクロからマクロを縦断する非線形性を分析する数学的手法を探り、現象を制御するための数学の可能性を具体的に検討する。プラズマ科学、固体地球科学、気象学、流体、シミュレーション科学、材料科学、経済(貨幣モデルと市場制度等)の分野から話題を提供してもらい、偏微分方程式、特異摂動、非エルミート性・非可積分性の問題に関わる数学者・数理科学者が共同で取り組める問題を探索する。階層シミュレーションのプロジェクトの研究者も招いて、シミュレーション科学と数学との協働の仕方についても考える。そして、定量的予測までを視野に入れるマルチスケール数学の輪郭を描く。
組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
福本 康秀(九大・MI研究所・教授)