マス・フォア・インダストリ研究所

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研究集会・ワークショップ・国際会議(一覧)

物理現象の演出可能な離散モデルの構築


開催時期 2016-06-11 12:30~2016-06-13 17:00

場所 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 中講義室 W1-C-515

物理現象の演出可能な離散モデルの構築
Art-directable Discrete Models for physically-based method in CG

※ この研究集会はマス・フォア・インダストリ研究所 共同利用研究の公開プログラムです.
 
 開催日
 
 2016年6月11日(土) - 6月13日(月)
 
 開催場所
 
 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 C棟 5階 中講義室 W1-C-515
 伊都キャンパスへのアクセス, 伊都キャンパスマップ
 
【プログラム】
 
 6月11日(土)

 セッション【計算資源と演出性】
 12:30 - 13:00
 講演タイトル《ポリゴン・ピクチュアズとデジタルアニメーション
 講演者:山森 徹 (ポリゴン・ピクチュアズ 技術部門 執行役員)
 13:00 - 13:30
 講演タイトル《技術的動向から見た幾つかの課題など
 講演者:桐生 裕介 (スタジオフォンズ)

 【特別講演】
 13:40 - 14:10
 講演タイトル《計算機のメモリ階層構造を考慮した高速かつ並列化効率の高いグラフ探索
 講演者:安井 雄一郎 (九州大学 共進化社会システム創成拠点)

 14:30 - 15:00
 講演タイトル《産業側から見た、CG制作における課題
 講演者:福田 啓 (デジタル・フロンティア CG制作部 部長 執行役員)
 15:10 - 15:40
 講演タイトル《CGにおける数学的手法
 講演者:廣瀬 三平 (芝浦工業大学)
 15:50 - 16:20
 講演タイトル《CG研究と数学の接点
 講演者:藤堂 英樹 (東京工科大学)
 16:40 - 17:10
 講演タイトル《ゲームアセットパイプラインの変遷と計算機の進歩
 講演者:富田 岳伸 (ポリフォニー・デジタル)


 6月12日(日)

 セッション【物理現象の離散化】
 10:00 - 10:10
 講演タイトル《九州大学マス・フォア・インダストリ研究所と共同利用・共同研究拠点事業のご紹介
 講演者:梶原 健司 (九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)
 10:20 - 11:20
 講演タイトル《渦糸の可積分離散モデル
 講演者:梶原 健司 (九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)

 11:35 - 12:30
 ディスカッション: 物理現象の離散化
 司会:廣瀬 三平 (芝浦工業大学)
       梶原 健司 (九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)

 セッション【現状理解から実践的な課題の策定へ向かって】
 14:20 - 15:45
 講演タイトル《流体シミュレーションにおける様々な手法
 講演者:廣瀬 三平 (芝浦工業大学)

 16:00 - 17:00
 ディスカッション: 演出性と物理現象の離散化
 司会:廣瀬 三平 (芝浦工業大学)
          梶原 健司 (九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)
          桐生 裕介 (スタジオフォンズ)
 パネリスト:
          山森 徹 (ポリゴン・ピクチュアズ 技術部門 執行役員)
          川田 玄一 (デジタル・フロンティア CG制作部 開発室)
          福田 啓 (デジタル・フロンティア CG制作部 部長 執行役員)
          富田 岳伸 (ポリフォニー・デジタル)


 ※6月13日(月)の議論は非公開

 
当日の様子、報告(研究代表者   廣瀬 三平、6月14日)

本短期共同研究では、企業における映像制作の研究開発者、CG研究者、映像制作者、数学者、計算機科学者など多様な分野から20名の参加者があり、以下のような議論が行われた。

まず、テーマである物理シミュレーションは必ずしも実際の現場では用いられていないとの指摘が行われた。この理由の大きなものとしては、実際の現場において演出上必要な様々な試行錯誤に対して計算コストの観点から引き合わないことが挙げられる。その要因として、使用できる手法はプロダクション全体のワークフローを支えるパイプライン上の制約から決まることが多く、演出の指示によっては物理的な妥当性は問われず、多くの場合アーティストの感性や監督などの指示によって進められているということが指摘された。

これらを踏まえ、プロダクションサイドより現場における物理シミュレーションを用いない技法やその課題に関して説明があり、多様な立場の参加者を交え、集中的に討論を行った。また、映画制作などの映像制作パイプラインの仕組みなどの説明があり、そのパイプライン上の制約から来る演出上、あるいはアルゴリズム上の制限についても議論を行った。

現場の複雑なユースケースに関する説明のもと、そこで扱う対象や様々な制約を考え、最も適切な離散化やシミュレーション手法の選択のための指標の構築が望まれていることが明らかになった。また、物理シミュレーションの普及には、既存手法の数学的基盤や技術について技術者向けの包括的な解説や説明が望まれていることも判明した。例えば、手法の数学的な導出、解説、比較であり、計算機で使用する際のコストの違いである。現場で円滑に各種物理シミュレーション手法を選ぶ際には、手法の一長一短が短時間で把握できる十分な数のサンプルおよび計算コスト表の充実が欠かせないことも指摘された。

以上の議論を踏まえ、二日目には、一つの例として流体表現のためのシミュレーション手法を取り上げ、多様な立場から詳細な議論を行った。渦糸のシミュレーション手法の紹介やPIC、FLIPなどの普及しているシミュレーション手法に関して数学者からの解説があり、それらに対して演出可能性の観点から課題が抽出され、今後研究を進めていく上での知見が得られた。

最後のパネルディスカッションでは、今後のCGと数学の関係性の向上に必要なものや、今後の産業と学術機関における研究における連携のあり方について議論が行われ、産業側からは学術研究機関への大きな期待が寄せられた。

今後、産業側からの様々な声を念頭に研究や連携を進めていく。


【講演スライド】
計算機のメモリ階層構造を考慮した高速かつ並列化効率の高いグラフ探索 (安井 雄一郎)
渦糸の可積分離散モデル (梶原 健司)
流体シミュレーションにおける様々な手法 (廣瀬 三平)


* 研究計画はこちらです。