九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所

2024年12月25 / 26日 大阪府立大手前高校マスツアーご報告

2024年12月25日から26日にかけ、九州大学伊都キャンパスにて大阪府立大手前高校のアウトリーチ企画「2024年度マスツアー」を開催いたしました。参加者は参加を希望した高校1年生・2年生のべ23名です。内容は講義と演習、および発表で、身近な題材から最先端の話題を通じ、数理と社会の接点を紹介する形式で実施いたしました。

大手前高校は文部科学省SSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)の指定を受けており、その取り組みの1つとして「マスツアー」を実施しています。今回、同校の先生が例年実施されている中学生向けの別のイベントの企画考案にて、弊所の(過去在籍していた)所員が執筆した学会誌の記事を参考にされ、それをきっかけに弊所の様々な取り組みを知り、ご連絡をいただいたことがきっかけで、今回のイベントが実現しました。

講義はそれぞれ90分で行いました。講演者はマス・フォア・インダストリ研究所リエゾン戦略部門の佐藤文一教授、石塚裕大助教、松江要教授の3名です。
佐藤教授による講義では、マス・フォア・インダストリ研究所の概説のあと、「0.9999……=1」、利子・利息、あみだくじの3つのテーマをもとに、数理的な思考法と社会との関連を紹介しました。次に石塚助教の講義では、身近に使われる数学の例として、事前配布された知識を活用し、RSA暗号の仕組みについて講義と実演が行われました。最後の松江教授の講義では、「ゾンビ火災」という現象とその数理モデルを紹介し、数理モデルを用いた環境問題へのアプローチについて解説しました。

演習と発表は2日目の午前、第2・第3の講義の間に行われました。テーマは暗号に関する課題で、参加者はグループに分かれ、第2講義終了後から2日目の午前中にかけて取り組みました。発表では、講義のポイントを押さえた解説から出題者の想定外の回答まで、それぞれに見事な内容を披露していました。

講義後のアンケートに寄せられた声には、高校の数学とは異なる側面や考え方への驚きや、難しい数学で数学でも徐々に理解が開けていく体験への感動が寄せられています。また社会とのつながりについてはアンケートだけでなく、松江教授の講義後にも多くの学生が質問を寄せており、参加者が数理的アプローチと社会とのつながりに強い関心を持っていることがうかがえました。