
(理論面の)対象 | ①可積分系と関連する曲線や曲面 ②応用物理学に登場する微分(差分)方程式のうち,テータ函数解を持つもの |
(理論面の)目標 | ①上記の対象の明示公式の構成や,保存量などの幾何的・物理的特徴量の探索 ②上記の対象のよい離散化や厳密解,保存量の探索 |
ここまでの成果/重要な発見 | ①カライドサイクルというリンク機構と対応する,空間離散閉曲線の変形を表す明示公式を構成し,保存量も発見した. ②炭酸水の発泡などに見られる現象において,特徴量が満たす差分方程式を発見し,実験研究での活用可能性を指摘した. |
これからの目標/現在取り組んでいる目標 | ①明示公式が持つパラメータと幾何的特徴量の明示的な関係の探索,それらが取りうる値の検討.カライドサイクルの変形の自由度に関する予想の証明,変分原理を用いた解析. ②流体工学で重要な,レイリープリセット方程式の理想的な離散化 |
応用上の成果/目標 | ①自由度1のカライドサイクル(メビウスカライドサイクル)は全て楕円テータ函数で記述できることの証明 ②実験研究やシミュレーションでの省コスト化.方程式が持つパラメータと解の繋がりの明示的表示 |
さらなる発展の可能性・方向性 | ①離散的な変分原理を活用したリンク機構の解析理論の発展 ②応用物理学に限らず,社会現象などの数理モデルの離散化・特徴量の構成 |
楕円テータ函数というよい性質を持った特殊関数を一つの軸として(1)可積分系とそれに関連する幾何学,(2)応用物理学の研究をしています.
(1)可積分系とそれに関連する幾何学
可積分系とは,非線形なのにも関わらず厳密に解ける方程式の族のことを指し,解の構造を保った離散化が可能なことが知られています.微分幾何学に現れる可積分系を離散化することで,対応する曲線や曲面も離散化でき,リンク機構の解析などに応用できます.
こういった離散化は必ずしも簡単とは限りませんが,テータ函数の恒等式が役立つことがあります.また,曲線や曲面の明示公式の構成や,保存量の探索などでもテータ函数が道標となる場合があり,パズルを解くような感覚で研究ができます.
(2)応用物理学
テータ函数は数学のみならず,物理学でもいろいろなところに顔を出します.私はその中でも特に,地球科学などで見られる応用物理学的な現象の研究もしています.物理の本質に迫るだけでなく,実験研究のコスト削減やシミュレーションの精度向上にも寄与できればと思っています.
キーワード | 可積分系、離散微分幾何学、応用物理学、テータ函数 |
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部門 | 基礎理論研究部門 |
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