穴井氏,Koch教授に九州大学から感謝状贈呈
2023.05.15
穴井宏和氏(富士通株式会社富士通研究所プリンシパルリサーチャー),Thorsten Koch教授(ツーゼ・ベルリン研究所/ベルリン工科大学)に5月11日に九州大学から感謝状が贈呈されました.
穴井氏は文部科学省グローバルCOEプログラム重点配分拠点 「マス・フォア・インダストリ研究教育拠点」(2008〜2012年度) においては事業推進担当者を務められました.またマス・フォア・インダストリ研究所の初の共同研究部門である「富士通ソーシャル数理共同研究部門」の開設(2014年9月)および研究を主導され,この共同研究部門においては,例えば保育所マッチングに対するアルゴリズム・システムの開発を行うなど,大学における学術的な研究の枠を超え,実際に社会において役に立つ数学的技術の開発に成功し,マス・フォア・インダストリ研究所のミッションに大きな貢献がありました.また,文部科学省卓越大学院プログラム「マス‧フォア‧イノベーション卓越大学院プログラム」の目玉ともいえる「卓越社会人博士課程制度」(修士修了後企業に就職し,そのまま博士後期課程に進学する制度)の企画と実施にも深く関わり,既に本制度を通じて富士通株式会社に採用実績があるなど,穴井氏の本学の学生の研究・教育に対して大きな貢献をされました.「富士通意思決定数理モデリング共同研究部門」の開設(2022年12月)においても主導的な役割を果たされ,今後も密に九州大学の研究活動に貢献をしていただくことが期待されています.
Koch 氏は現在,数理最適化に関する研究と産学連携の EU の重要なハブとなっているツーゼ・ベルリン研究所(ZIB)の数理最適化部門の部門長と,EU におけるトップの工科大学であるベルリン工科大学の教授を務めています.IMI においても数理最適化の研究や産学連携を活発に推進してきたことなどがきっかけとなり,ZIB と IMI は 2014年から研究,教育などに関する基本合意書の締結を行い,共同研究,国際ワークショップの合同開催,研究員や大学院生の相互派遣などを含む人的交流を活発に推進しています.共同開催の国際ワークショップは2017年以降,年1〜2回の頻度で行ってきましたが,数理最適化,機械学習,高性能計算,量子計算さらにこれらを活用した産学連携に関する最新の研究が発表される場として注目を集めるようになり,日本からは理研,統計数理研究所,ドイツからはMODAL, NHR などの研究機関,さらにシンガポール国立大学など参加は年々増加しています.本ワークショップは九州大学およびIMIの国際的な知名度の向上と人的交流の推進に多大な貢献をしており,今後も活動の拡大が期待されるところです.また,研究面においてもZIBと IMI の連携は年々加速しており,トップカンファレンスでの国際共著論文の採択や,高性能計算分野における国際ベンチマークコンテストである Graph500 においてIMIとZIB,理研による連携で,日本のスーパーコンピュータ富岳を用いた共同開発によって,昨年2期連続の入賞を果たすなど大きな成果を挙げています.Koch 教授はZIB 側のトップとしてこれらのプロジェクトの推進に大変尽力されており,九州大学の研究と教育に多大な貢献をされてこられました.
両先生にはお祝いを申し上げるとともに,これまでの大きなご貢献に心より感謝申し上げます.