九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所

2025年12月 IMI Colloquiumを開催しました

講演タイトル : 量子アルゴリズムで企業課題を考える
                               ― 数学から見るアニーリング&ゲート方式の役割
場所:IMIオーディトリアム(D-413)及びZoomによるオンライン配信
講師:DEVEL株式会社 代表 比嘉 恵一朗氏
参加者 :27人(学生: 7人;教員: 12人;その他:8人)

今回のIMIコロキウムでは、「量子アルゴリズムで企業課題を考える ― 数学から見るアニーリング&ゲート方式の役割」と題したご講演を賜った。まず、古典計算と量子計算の違いや、量子計算の方式である「量子アニーリング方式」と「量子ゲート方式」に関する概説をいただいた後で、量子アニーリング方式の量子計算で、企業課題に取り組むプロセスが紹介された。具体的には、課題の二値(0 or 1)への分解、二次形式を用いた目的関数の記述、制約条件のペナルティ項としての定式化、といった手続きが取り上げられた。なお、最適な変数や制約の設計をしなければ問題が複雑化してしまうため、適切な解決には、課題に対するの的確な理解と多様な数学的知識がともに必要となる。

続いて、量子ゲート方式における主要なアルゴリズムの設計と、それらに基づいて企業課題を解決するアプローチについてご紹介いただいた。この構築においても、行列操作や固有ベクトルの適切な近似、最適化等、数学に通暁していることが求められる。

最後に、実際にご講演者が取り組まれている、シフトの最適化と業務のマッチング問題を通して、問題の定式化やその解決の具体例が示された。今回のご講演では、これからの時代の課題解決にあたって重要となる量子計算において、数学的な問題構造の理解が不可欠であることが述べられ、これは数学を専門とする教員・学生にとって大変刺激的かつ有意義なものとなった。講演後の質疑応答も活発に行われ、参加者の関心の高さが窺えた。