九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所

2024年10月 IMI Colloquiumを開催しました

講演タイトル : 半導体試料への高精度な抵抗率測定に向けた数値シミュレーション活用への取り組み
講師:中野 泰河 (ナプソン株式会社)

場所:IMIオーディトリアム(D-413)及びZoomによるオンライン配信

参加者 :32人(学生: 8人;教員: 20人;その他: 4人)

10月のコロキウムでは、ナプソン株式会社の中野泰河氏に、高精度・高信頼性のある半導体抵抗率測定装置の開発・製造における数学の活用についてご講演いただいた。

まず最初に、ナプソン株式会社について、その沿革や事業内容を紹介いただいた。次に中野氏の経歴を紹介いただいた。紹介の中で、高専から大学への編入、博士課程への進学の過程における中野氏と数学との関わり、などに触れていただいた。  

その後、接触型の半導体抵抗率測定装置で用いられている四探針法を解説いただき、その数理モデルとして、2つの探針を中心とするdirac delta関数をソース項に持つ、斉次Neumann境界条件のPoisson方程式を紹介いただいた。さらに、混合型有限要素法を用いた近似解の誤差評価や、 Hypercircle法を用いた近似解の精度保証といった (特に領域形状がより複雑な場合にも適用可能な) 数値解析結果を紹介いただいた。  

最後に、数値計算例を通して、四探針法を用いた半導体抵抗率測定装置の性能向上に対する数値解析の貢献、今後の展望などについて解説いただいた。偏微分方程式の数学解析や、その有限要素法に対する数値解析などを通して、数学が製造現場に役立つ様子を知ることができ、共同研究を行っている教員にとっては今後の産学連携に大いに役立つ知見を、学生にとっては学んだ数学が産業に活かされている実例を、それぞれ知ることができた。