九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所

IMIオーストラリア分室キックオフミーティング報告

3月1日に開設されたIMIオーストラリア分室のキックオフミーティング「Kick-off Meeting of IMI Australia Branch in La Trobe―Mathematics Bridge over the Pacific for Competitive Edge in Industry」が,3月12日 (木),13日(金)にラ・トローブ大学(メルボルン)において開催されました.オーストラリア,ニュージーランド,アジア・太平洋地域からTim Marchantオーストラリア数学会長をはじめとして60名を超える参加者があり,九州大学からは若山正人理事・副学長,青木玲子理事・副学長をはじめ,IMI・数理学研究院の教員15名,数理学府の大学院生・学術研究員17名,事務職員2名を派遣しました.

まず,3月11日(水)17:30より,大学内の「Eagle Bar」でウェルカムパーティーが開かれ,特に海外経験の少ない大学院生の皆さんはこれで緊張をほぐしました.

キャンパス内の高等研究所で開催されたミーティングでは,IMI,ラ・トローブ大学の研究者の他に,オーストラリア,ニュージーランドをはじめとするアジア・太平洋地域の応用数学・産業数学の指導的な研究者によって合計13件の講演が行われ,最新の研究成果や産学連携の具体的な事例に関する報告がありました.

1日目は9:00からIMIの福本所長の講演を皮切りに,合計7件の講演が行われました.15:30からは,メルボルン市内中心部のコリンズストリートにあるANZビル46階のSir Redmond Barry Roomにおいて,Adem Somyurekヴィクトリア州中小企業・貿易担当大臣と羽田恵子在メルボルン日本総領事のご出席を得て,IMIオーストラリア分室開設記念式典が執り行われました.式典にはラ・トローブ大学のKeith Nugent副学長,九州大学の若山,青木理事・副学長を始め,現地の産業界や大学関係者,約80名が出席し,メルボルン中心部の超高層ビル最上階からの素晴らしい景観を楽しみながら,九州大学とラ・トローブ大学の今後の連携活動,また日本とオーストラリア,アジア・太平洋地域の産業数学・応用数学の今後の活動などについて和やかに,かつ,熱い議論がなされました.

また,2日目には6件の講演と日豪NZのスタディグループ・ワークショップの紹介が行われました.さらに,九州大学とラ・トローブ大学の大学院生,学術研究員によるポスターセッション,および各自2分でポスター内容を説明するショートトークが行われました.九州大学からの発表者は日頃の学習の成果を発揮し,流暢な英語と立派な内容のポスターに参加者が感心していました.発表者は大いに自信をつけたことと思います.

最後は分室設置の実務に携わってきたラ・トローブ大学のBroadbridge教授とIMIの梶原教授の司会で,アジア・太平洋地域における産業数学に関する連携活動の今後の展望について議論がなされました.そこで,数理学府D1で現在ラ・トローブ大学に派遣されている井上公人君と,Australian National University(キャンベラ)の大学院生で,2月に1ヶ月間数理学府に滞在して研究を行っていたAlexandra Hoganさんが互いの海外での研究滞在経験について語ってくれました.Hoganさんは,昨年10月に設立したアジア・太平洋産業数学コンソーシアム(Asia-Pacific Consortium of Mathematics for Industy, APCMfI)の秘書を務めており,APCMfIの概要と活動紹介も行いました.なお,井上君の派遣は九州大学リーディングプログラム『キーテクノロジーを牽引する数学博士養成プログラム』によって支援されていることを付記しておきます.

翌日の3月13日(土)12:00より,ラ・トローブ大学内の「Wildlife Sanctuary」においてバーベキューパーティが開かれ,自然が保存されている貴重な環境の中で参加者は懇親を深めました.残念ながらカンガルーは奥に引っ込んでいて会うことができませんでしたが….

以上のようにキックオフミーティングは成功裡に終了しました.既にラ・トローブ大学やオーストラリア・ニュージーランドの他の大学との間で学生の相互派遣や教員間の共同研究も始まっており,オーストラリア分室はIMI・数理学府の研究活動のさらなる国際化と活性化を促進します.