九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所

4月 IMI Colloquium(2023/4/12)を開催しました

講演タイトル : 多重経路散乱場理論の開発とマイクロ波マンモグラフィへの応用
講師:木村 建次郎 (神戸大学 数理データサイエンスセンター 教授/INTEGRAL GEOMETRY SCIENCE 取締役 CSO)
場所:Zoomによるオンライン配信

物体の影にある光が届かないところをどのように見るかを主題とする多重経路散乱場理論やその実践について, また木村先生が取り組まれている他の逆問題解析についてもご紹介いただいた.

最初に, コンクリート構造物の亀裂等を調査する, 打音検査よりも正確な実時間での非破壊検査を行いたいというニーズと対応するレーダーを用いた装置の開発に関する歴史について解説いただいた.このニーズを元に, X線CTやMRIを用いた物体の立体画像の再構成を行う装置の開発に興味を持って研究を続けられていること, 鉄道トンネルの3次元非破壊検査を実用化した例を紹介いただいた.

その後, 5年生存率のデータが早期発見の重要性を示している乳がんの検診に関する主題が, 医学部の方から持ち込まれ, 検診に必要な装置の改良を目指したマンモグラフィに関する研究を始められたことに触れられた.次に, 乳房や乳がんの構造, マイクロ波マンモグラフィの原理, 装置の核となる多重経路散乱場理論など, 対象となる現象や装置の原理等について詳しく説明いただいた.

さらにマイクロ波散乱場断層イメージング法を用いた実際の装置やその仕組み, 再構成画像を元にした臨床試験例などを紹介いただいた. これまでに400例ほどの臨床例から精度の高い診断が可能となり, 実用化が進んでいることを紹介頂いた.

最後に, 空港の保安検査など, 他の応用例についても紹介頂いた.

参加者:48人 (内 学生: 21人; 教職員: 21人; その他: 4人)