九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所

1月 IMI Colloquiam(2022/1/19)を開催しました

2022年 1月19日, 1月IMI Colloquiumを開催しました.

1月 IMI Colloquium
講演タイトル : 統計モデルからみた金融市場
講師:田野倉 葉子 (明治大学大学院先端数理科学研究科)
場所:Zoomによるオンライン配信

本講演では, 金融危機時を含めた時系列データを用いて, 金融市場の変動構造を適切に捉えるための統計的手法についてご紹介いただいた.

特に, 金融や経済に関する非定常な時系列データから長期的なトレンドを捉えるためのトレンド+定常モデル, 時系列間の変動の相互関係を定量的に測る一般化パワー寄与率, そして,情報量が不十分なソブリンCDS市場の動向を適切に表現するために開発した分布フリーインデックスについて, さまざまな金融市場や経済データに適用して得られた知見を交えてご解説いただいた. ちなみに, 適用された時系列データの期間は, 世界金融危機, 東日本大震災, 2020年初頭のコロナショックなど金融市場の価格変動の急激な変化があった時期を含む. そのような時期を含めた時系列データへの適用例より, 理論と応用の両面の視点からの貴重な知見を得ることができた.

本講演でご紹介頂いた時系列データを用いた解析は, 数理統計学のテーマとしても理論・応用上の関心が高い. 特に, コロナ禍における様々な現象の解明においても, 今後益々重宝され得る統計的手法になると考えられる.

さらに, 大学のみならず企業の現場も経験されている講演者様より, 主に学生に向けた「社会における数学」についての力強いメッセージをいただくこともできた.

参加者数:教員15名,学生5名, その他(ポスドクや職員) 7名