九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所

11月 IMI Colloquiam(2021/11/10)を開催しました

2021年 11月10日, 11月IMI Colloquiumを開催しました.

11月 IMI Colloquium
講演タイトル : 臨床試験研究における生存時間解析
講師:今村 拓未 (塩野義製薬株式会社)
場所:Zoomによるオンライン配信

本講演では, 臨床試験などで得られるデータのうち, 基準となる時 刻から患者の死亡や疾患の発症といった関心のあるイベントが発現 するまでの時間 (生存時間) に関するデータと, そのイベントとの 関連を分析する生存時間解析について解説頂いた.

最初に生存時間解析の概念が紹介された. 次に解析における基本となる道具である Kaplan–Meier 法, Log-rank 検定, 一般化 Wilcoxon 検定, および Cox 比例ハザード モデルについて, それぞれ実際の解析例を交えながら特徴などを紹 介頂いた.

生存時間解析を用いて対照薬群に対する実薬群の薬効を評価する場 合, 生存率 (生存関数) の視覚化に用いる手法として Kaplan–Meier 法が, 検定による生存関数の群間比較に用いる手法 として Log-rank 検定および一般化 Wilcoxon 検定が, ハザード比 の推定値を用いた定量評価に用いる手法として Cox 比例ハザード モデルが, それぞれ用いられる.

さらに本講演では, Cox 比例ハザードモデルにおいて必要となる比 例ハザード性が成立しない場合の手法として生物統計分野で近年注 目されている RMST (Restricted Mean Survival Time) についても, 実際の解析例を交えて紹介頂いた.

本講演で紹介頂いた生存時間解析は, 数理統計学のテーマとして理 論上の興味・関心が持たれているだけでなく, 新しい薬剤の開発な ど現実問題への応用も行われており, 理論と応用の融合の観点から 貴重な知見を得ることが出来た.

参加者数:教員8名,学生13名, その他(ポスドクや学外の方) 14名