最終講義開催報告(写真追加):溝口佳寛教授(IMI)・金子昌信教授(数理学研究院)
2026.03.09
令和8年3月5日(木)、九州大学伊都キャンパス ウエスト1号館D棟4階413号 IMIオーディトリアムにおいて、溝口佳寛教授(IMI)および金子昌信教授(数理学研究院)の最終講義が開催されました。長年にわたり九州大学の研究・教育を支えてこられた両教授が、それぞれの研究の歩みや長年のご経験、学問・教育への思いを語りました。
当日は会場であるIMIオーディトリアムを埋め尽くすほどの参加者が集まり、九州大学内外から多くの教職員や学生、関係者が来場しました。追加席もすぐに埋まり、立ち見が出るほどの盛況となり、両教授のこれまでの研究と教育・組織運営への貢献の大きさを感じさせる講義となりました。
溝口佳寛教授「論理と計算について考えた人たち」
溝口教授は理論計算機科学・数理情報学を専門とし、数理論理学や圏論を基盤とするプログラム理論の研究を中心に活動されてきました。
講義では、ご自身の研究に関係する話題として、モナドやトポスなどの数学的枠組みによるプログラム意味論、グラフ書き換えによる計算モデル、量子セルオートマトンやDNA計算などが、ご自身の経験を交えながら語られました。
その関心と研究領域は計算機科学にとどまらず、生物科学や量子物理、コンピュータグラフィックスなど、多様な分野との協働へと広がっています。
また、これらの研究の下地を構築してきた「論理と計算について考えた人たち」として、デカルトやライプニッツからチューリング、フォン・ノイマンに至るまで、論理と計算をめぐる思想と研究の歴史が紹介されました。
さらに、高校生向けの数理科学セミナー、「数理の翼」事業(理事も務められました)、数理・データサイエンス副教育研究センター副センター長としての活動など、長年にわたる教育・運営へのご尽力も紹介されました。こうしたご経歴からは、数学および数理・データサイエンス教育の展開に対する並々ならぬ熱意とご貢献の大きさが伝わってきました。

金子昌信教授「多重ゼータ値と30年 ― 思えば遠くへ・・・」
金子教授は数論を専門とし、多重ゼータ値やモジュラー形式などの研究で国際的に知られています。特に多重ゼータ値にいち早く注目し、Don Zagier 氏らとの共同研究をはじめ、同分野における後続研究の基盤を形成するような多くの成果を挙げてこられました。
講義では、研究の出発点から現在に至るまでの約30年にわたる研究の歩みが語られました。海外研究機関での経験や世界的研究者との交流、研究の試行錯誤の過程などが、写真や手紙などの資料とともに紹介され、長年にわたる研究の積み重ねが伝わる内容となりました。
また、多重ゼータ値研究の発展の背景には、実験的な試みや数値計算から生まれるひらめきや、多様な分野からの問題意識があったことも紹介されました。講義では多くの研究者との交流や印象的なエピソードが語られ、会場からは笑いが絶えず、終始和やかな雰囲気に包まれていました。

おわりに
両教授の最終講義は、それぞれの研究分野の発展を振り返るとともに、研究者としての歩みや学問の魅力を改めて感じさせる機会となりました。
また、両教授に特筆すべき点として、指導学生の多さが挙げられます。新センター事業や文部科学省委託事業、研究院長など多忙な時期においても数多くの学部生・大学院生を指導され、後進の研究者育成に大きく貢献されました。
長年にわたり九州大学の教育・研究に多大な貢献をされてきた両教授の功績に、改めて敬意を表します。
