マス・フォア・インダストリ研究所

セミナー



リスト 全て(掲示受付分)(1730) 今日・明日のセミナー(0)

2-knotのSeifert hypersurfaceとChern-Simons汎関数


開催時期 2020-02-21 16:00~2020-02-21 17:00

場所 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 小講義室 W1-C-514

受講対象  

講師 谷口 正樹 (東京大学)

概要:
2-knotとは, S^4に滑らかに埋め込まれたS^2のことです.  2-knotのisotopy類の研究は, 微分トポロジーの古典的な話題の一つです. 2-knot Kに対して, Kの結び目補空間の基本群G(K)は, Kの最も基本的な不変量を与えます. G(K)を幾何的に表現するひとつの方法として, Lie群Gを固定した時, 表現の同型類の空間 R(K, G)があります. この講演では, “oriented 2-knotに対するChern-Simons汎関数“cs_K :R(K, SU(2)) → (0,1] を導入し, その性質をYang-Millsゲージ理論を用いて調べていきます. まず, cs_K について次の5つの基本的な特徴があります. * Im cs_Kは, 有限集合となり, さらに2-knotのisotopy不変量となります. * 『穴を開けた有向閉3次元多様体YからS^4への埋め込みを与えるとき, その境界として定まる2-knot KのChern-Simons汎関数の像 Im cs_K は, YのChern-Simons汎関数の像(臨界値) Im cs_Y に含まれる』という性質があります. YのことをKのSeifert hypersurfaceと呼びます. * Im cs_K ∩ (0,1)が空でなければ, その個数の2倍分, knot補空間の基本群の既約なSU(2)表現(同型を除いて)が存在します. * ribbon 2-knotに対しては, Im cs_K = {1}となります. * 連結和公式, 結び目の向きを逆にした時の公式があります. また, Im cs_Kについて, twisted spun knotという2-knotのクラスについて, いくつかの計算を行いました. Torus knot, Montesinos knotのtwisted spun knotの場合には, Im cs_Kは, 手で計算できます. 主定理は, 『2-knot Kに対して, cs_Kを通して, (あるクラスの3次元多様体がSeifert hypersurfaceとして存在すること)と, (結び目補空間のSU(2)既約表現の存在)を結びつける』 というものです. 例えば, -Σ(2,3,6k-1)をSeifert hypersurfaceとして持つ2-knot Kに対して G(K)は既約なSU(2)表現を持つ, ということが示せます. (これは, Im cs_Kが, 1/24(6k-1) を含む, という定理の系として示されます) Freedmanの結果により, -Σ(2,3,6k-1)は, TOPの圏では閉多様体のまま, locally flatにS^4に埋め込まれることが知られています. これにより, TOPの圏では, -Σ(2,3,6k-1)はunknotのSeifert hypersurfaceとなります. すなわち, この主定理は, TOPの圏では偽であり, 2-knotの滑らかな構造を反映した繊細な定理であることがわかります. 主定理の証明は, 『フィルター付されたインスタントンFloerホモロジーにおけるLefschetzの不動点定理の類似』 を示すことによって行われます. この講演では, cs_Kの紹介, “FloerホモロジーにおけるLefschetzの不動点定理“の証明の概略に焦点をあて, 話させていただきます. (今回の講演の主な内容は, プレプリント, arXiv:1910.02234 に含まれています. この論文では, 同様の手法で, 3次元多様体から4次元多様体への埋め込みの存在問題も扱っています. )