環境負荷を考慮した航空経路の多⽬的最適化

整理番号 20210018
種別 一般研究-短期共同研究
研究計画題目 環境負荷を考慮した航空経路の多⽬的最適化
研究代表者 Hiroshi Yamashita(German Aerospace Center (DLR) Institute of Atmospheric Physics・Postdoctoral researcher)
研究実施期間 2021年12月15日(水)~ 2021年12月16日(木)
研究分野のキーワード 多⽬的最適化,微分トポロジー,構造安定性,トポロジー解析可視化
目的と期待される成果 気候変動への意識の高まりから,航空機産業界は航空機の排出ガスによる気候への影響を低減化するよう強く求められている.航空機の排出ガスは大気中のCO2,オゾン,メタンおよびH2O濃度を変化させ,また大気条件により飛行機雲を生成する.これらは異なる時間スケールで気候変動に寄与することが知られており,航空機の気候への影響を評価するためにはCO2効果と非CO2効果(オゾン,メタン,H2O,飛行機雲)をあわせて考慮する必要がある [1].一方,エアラインはコスト最小を現在の運航指針としている.しかし,飛行毎に環境負荷に応じたペナルティコスト(例:環境税)が現在の運航コストに加算されると,新たな運行指針が必要になる.航空機産業の持続可能な発展を見据えた場合,飛行時間,航路長,燃料消費量のみならず気候への負荷をあわせて考慮することが重要になり,物理的に異なる目的関数を多目的最適化で解き,目的関数値のなすトレードオフ(数理的には,パレートフロントと呼ばれる超曲面)を理解して最適解を迅速に選ぶ手法の開発が必要である.この手法により,エアラインは利便性,経済性,環境負荷のバランスのとれた経路を選択することが可能となる.しかし,目的関数が多数ある場合,関数軸が張る空間が高次元となるため,そこに浮かぶパレートフロントの構造を理解することは容易でなく,意思決定(即ち飛行ルート選定)に要する時間が増加するおそれがある.

そこで,パレートフロントの構造のうち重要と認識されているもの [2] を簡潔に抽出できる表現方法としてReebグラフを利用する.本年度は初手としてこれを適用する.この手法では,様々なコストが局所的に最適になるknee pointを列挙することができる.ただし,様々なコスト関数を,それらの線形和からなるひとつの関数としてしまうので,落ちてしまう情報もある.会合では,予備解析の結果をベースに,どのような情報が取れているかと,どのような情報を付加すべきかとを議論する.特に,高次元のフロントの状態を理解して効果的な解析手法を考えていくために,高次元のフロントの構造をある程度保ったまま,2次元多様体の張り合わせとして表現できるReeb spaceの活用を検討する.

本共同研究は,応用の視点から見れば,リアルさを求めるために最先端のシミュレーションと気候変動問題とを扱う具体的な課題ではある.しかしなおかつ,理論の視点から見れば,高次元のパレートフロントの理解という普遍的なテーマの解決方策を数理と計算から探る試みである.多⽬的最適化や微分トポロジーのそれぞれに携わる研究者たちの協働により,実践と数理の両⾯から航空経路の最適化手法を開発していく.
組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
Hiroshi Yamashita(German Aerospace Center (DLR) Institute of Atmospheric Physics・Postdoctoral researcher)
Bastian Kern(German Aerospace Center (DLR) Institute of Atmospheric Physics・Postdoctoral researcher)
濱田 直希(KLab株式会社・リサーチエンジニア)
櫻井 大督(九州大学 汎オミクス計測・計算科学センター・准教授)
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