共同利用

多目的最適化と特異点論:パレート点の特異型の分類


種別 一般研究_短期共同研究
研究計画題目 多目的最適化と特異点論:パレート点の特異型の分類
研究代表者 濱田直希(株式会社富士通研究所・発見数理技術PJ・研究員)
研究実施期間 平成30年8月6日(月)~ 平成30年8月10日(金)
研究分野のキーワード 多目的最適化,可微分写像の特異点論,分類問題,認識問題
目的と期待される成果 本研究は,昨年度のIMI短期共同研究「ベクトル値滑層分割Morse理論の構築による多数目的最適化問題の解集合の可視化」からの継続研究である.年度をまたぐ大目標として,多目的最適化に特異点論を応用することにより,従来の最適化理論のように線形関数や凸関数に留まらず,ジェネリックな写像を扱うことができる汎用性の高い最適化理論およびアルゴリズムを創出することを目指している.

昨年度の研究では,多目的最適化に特異点論をどう応用しうるかについて基礎的検討を行い,以下のことがわかった.(1)多くの実問題において最適化すべき写像は定義域次元が値域次元以上であり,この場合,多目的最適化の解であるパレート点は特異点である.(2)写像の次元対は結構領域に属するケースが大半であり,この場合,安定写像はジェネリックである.(3)提案者らが過去に開発した解法および解の可視化手法は,各部分問題が折り目写像の最適化となるケースでは効果的に動作する可能性が高い.以上のことから,安定写像のパレート点の特異点型を調べることで,最適化問題が解きやすいかどうかや,解いた結果が理解しやすいかどうかを知ることができる可能性が示唆された.
すなわち,従来の線形・凸・多項式といった最適化問題の分類以外にも,パレート点の特異点型に基づいて問題クラスを分類し,それぞれに適切な解法を設計するというアプローチが考えられる.
したがって,本研究の目的は,安定写像のパレート点の特異点型の分類問題と認識問題に取り組むことである.通常,特異点はA同値に基づいて分類され,この同値関係に基づく安定特異点の分類は完成されている.しかし,A同値に用いられる値域の微分同相変換は多目的最適化問題の解の優劣関係を壊すため,より制限された同値関係による分類が求められる.加えて,パレート点は像の境界に位置するため,一部の特異点型は出現しえない可能性もある.解の順序を保つ「パレートA同値」に基づいて,パレート点として出現しうる安定特異点を分類し,特異点型の判定方法を作る必要がある.

今日の製品やシステムの計画・設計・運用等においては,実験やシミュレーションを含む多目的最適化問題が頻出している.最適化すべき関数の表式が未知であるため,従来の線形計画法や凸計画法では扱えない.パレート点の特異点型がわかるようになると,このような問題に対しても通用する最適化理論が構築でき,解法の改良にもつながる.
組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
濱田直希(富士通研究所・研究員)
佐伯修(九州大学IMI・教授)
早野健太(慶応義塾大学・講師/理化学研究所・客員研究員)
加葉田雄太朗(神戸大学・PD)
一木俊介(横浜国立大学・博士後期課程)
穴井宏和(富士通研究所・プロジェクトディレクター)
梅田裕平(富士通研究所・研究員)
成果報告書 【Web公開】成果報告書_共20180007.pdf