共同利用

結晶転位の先進数理解析


種別 一般研究_研究集会(II)
研究計画題目 結晶転位の先進数理解析
研究代表者 松谷 茂樹(佐世保工業高等専門学校 数理情報科・教授)
研究実施期間 平成30年9月10日(月)~ 平成30年9月11日(火)
研究分野のキーワード 結晶,らせん転位,結晶構造,トポロジカル欠陥,キンク現象,Γ収束,形状記憶合金,グラフ,
目的と期待される成果  本研究集会IIは,研究集会II「結晶のらせん転位の数理」(2016年9月3-4日)と,研究集会I「結晶の界面,転位,構造の数理」(2017年8月28-30日)の成果を発展させるものである.
結晶は,特殊ユークリッド変換群SE(3)の離散部分群の作用によって不変である集合として特徴づけられる.2016年9月の研究集会では,らせん転位をこの離散群の対称性の破れとして捉え,代数的な考察による離散幾何の表示とζ関数との関係や,Γ収束によるモデル化に関する話題にフォーカスし,議論を行った.また,2017年8月の研究集会では,最近の分析装置を用いた観察データや数値解析結果に関する講演などを基に,キンク現象・界面成長・粒界の結晶構造・構造と離散群の関係などについて,多分野の研究者が幅広く議論を行った.
 これらの結晶の問題に関しては,計算機が発達した90年代後半,(古典及び第一原理)分子動力学法を使って計算機上で原子を並べ転位を再現することなどが可能となり,また2000年頃からは分析装置・観察装置・実験技術が急激に発展し,連続描像から結晶構造まで様々なものが可視化されている.また,これらの微細構造をマルチスケールに制御したいという,産業界からの要望も顕著となっている.
これらの結晶の問題,特に,転位の問題を解決するには,広範囲な連続描像の性質と,離散的性質との両方を上手く取り扱う枠組みが必要である.しかし,現在そうした枠組みは出来上がっていない.
連続描像に関しては,1950年代より東大計数グループが微分幾何的な考察を行い,70-80年代に現代数学(主に代数的位相幾何,微分幾何)の物理現象への応用が盛んに研究された際に,机上で可能な考察はほぼ達成できたと思われる.  
他方,離散群の20世紀後半の発展の影響を受け,20世紀前半に発展し完成した,従来の結晶群や分子の対称性を表す群構造の理論を再考しようとする動きが,今世紀に入って現れている.
本研究集会は,結晶転位の微分幾何的理論を実際に構築された甘利俊一先生,位相的結晶論により現代数学的視点から結晶を研究されている砂田利一先生,転位の観察・観測に関して長年実験的研究をされてきた東田賢二先生,更に物理現象の離散的な定式化を深く研究されている時弘哲治先生をお迎えし,講演・議論していただくことで,結晶の転位の新たな数学的定式化を目指すものである.数学分野を横断した課題の解析は,数学的にも困難な問題ではあるが,大きな飛躍の種が生まれることが成果として期待される.
組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
松谷茂樹(佐世保工業高等専門学校・教授)
佐伯修(九州大学 IMI・教授)
中川淳一(新日鐵住金・上席主幹研究員)
濵田 裕康(佐世保工業高等専門学校・准教授)
上坂正晃(北海道大学 電子科学研究所・ 博士研究員)
成果報告書 【Web公開】成果報告書_共20180001.pdf