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結晶のらせん転位の数理
種別 | 研究集会(II) |
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研究計画題目 | 結晶のらせん転位の数理 |
研究代表者 | 松谷茂樹(佐世保工業高等専門学校 数理情報科・教授) |
研究実施期間 |
平成28年9月1日(木)~ 平成28年9月2日(金) |
研究分野のキーワード | 結晶、らせん転位、トポロジカル欠陥、モノドロミー、アーベル群の群環、転位のエネルギー、Γ収束 |
目的と期待される成果 | 本研究集会は2015年7月末から8月にかけて開催されたスタディグループ・ワークショップ(SGW2015)にて新日鐵住金(株)から問題提起された、「らせん転位の数学的表現」を更に発展させることを目的としている。 SGW2015の後、SC格子(単純立方格子)、BCC格子(体心立方格子)の結晶に付随するアーベル群の群環に対する加群構造と、格子のファイバー構造とを検討することで、らせん転位をファイバー構造の欠陥として離散的な幾何学の枠内で表現することが可能であることが判った。また、らせん転位のエネルギーについては、Γ収束などの変分法の方法を用いて、発散の状況をより詳細に評価する研究が進められており、エネルギーを格子和として評価することでゼータ関数と関連させた定式化も進んでいる。しかしながら、この問題は、一部は初等的とはいえ、解析学、グラフ理論、格子和、代数的位相幾何、環の表現論、群論など広範囲な数学分野に関わっているため、数学的に厳密な取り扱いができていない。特に転位のエネルギーは転位の中心で発散するという数学的問題を内在している。より広範な視点からの議論を行うことにより、格子長の有限性や、転位範囲の有限性を数学モデルとして取り込むことが可能となり、そのことによるエネルギーの正当な評価など、更なる発展が期待できる。転位のエネルギーの正当な評価により、マクロスケールで観察されている塑性域の構成則の理論的な記述が可能になり、実材料の強度設計にフィードバックできるようになるなど、産業への大きな貢献が期待できる。そのために、本研究集会を開催することで、集中した議論を行うことを考えている。 本研究集会を開催することにより、結晶レベルでのらせん転位の新たな数学的表現方法の確立と、らせん転位のエネルギーの新たな取り扱いの確立とが成果として期待される。目的に従って、本研究を高めるために、格子系から数学的に厳密に物理量を算出する研究の専門家である鹿島洋平氏(東京大学、特任助教)と、計算科学も利用したトポロジカル欠陥の新たなる研究で活躍している小林未知数氏(京都大学、助教)とを招待し、近年の研究成果について講演して頂くことを考えている。 |
組織委員(研究集会) 参加者(短期共同利用) |
松谷茂樹(佐世保工業高等専門学校・教授) 佐伯修(九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 ・教授) 中川淳一(新日鐵住金(株) 先端技術研究所・上席主幹研究員) 上坂正晃(東京大学 数理科学研究科・特任助教) 濵田 裕康(佐世保工業高等専門学校・講師) |