共同利用

地震ビッグデータに基づく新しい震源決定手法の理論的研究


種別 一般研究_短期共同研究
研究計画題目 地震ビッグデータに基づく新しい震源決定手法の理論的研究
研究代表者 長尾 大道(東京大学・地震研究所・准教授)
研究実施期間 平成29年8月27日(日)~ 平成29年8月30日(水)
研究分野のキーワード 地震ビッグデータ,震源決定アルゴリズム,データ同化,機械学習,スパースモデリング
目的と期待される成果  我が国は有数の地震多発国であり,2011年東日本大震災や2016年熊本大地震のように,大災害を伴う大地震に見舞われてきた.1995年阪神・淡路大震災以降は,世界的にも極めて稀有な大規模地震観測網が整備され,全国約2,000ヶ所の地震計による地震活動の常時監視が可能となった.これにより,地震発生直後に震源情報と震度分布を伝える「地震速報」の精度が大幅に向上し,地震波到達時刻を予報する「緊急地震速報」が確立された.現在では,毎日100ギガバイトにおよぶ地震データが蓄積されており,今後は従来の地震計による高品質データに,スマートフォン等に搭載されている加速度計による低品質データを含めた地震ビッグデータの活用が期待されている.
 地震データ解析の際には,発震時刻前後のデータのみが偏重して用いられる等,データが持つ情報が十分に活用されているとは言い難い.また気象庁等では,数十年前に確立された一変量自己回帰モデルに基づく地震検出法がいまだに用いられている.これによる弊害も起こっており,例えば2013年夏に起こった緊急地震速報の誤報は,ある観測点に混入した大きなノイズが原因であると考えられており,観測点間の空間相関を考慮した多変量解析を行っていれば,未然に防げた可能性が高い.
 本研究では,震源決定手法の刷新に焦点を当て,多変量解析手法や機械学習等を用いて超高次元の地震ビッグデータから震源情報を自動的かつ高速に決定するためのアルゴリズムを開発する.研究代表者は,限られた地震観測点のデータから地震波動場を面的に再構成するためのデータ同化やベイジアンモデリングに実績があり,廣瀬准教授は,効率的な多変量解析アルゴリズムの構築や,統計的手法の妥当性の評価に長けている.互いの長所を活かすことにより,数理科学が我が国の地震研究ならびに地震データ解析業務に大きな革新をもたらすことが期待される.本共同研究を推進することにより,従来は主に地震学者自身が行ってきた地震研究に必要となる数理的手法の開発を,数理科学者と協働で実施するという異分野交流の促進が期待できる.また,震源決定の高精度化を達成可能なアルゴリズムを生み出すことにより,地震に対する安心・安全をより高めることができれば,日本社会へ大きな貢献をすることは明白である.
組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
長尾 大道(東京大学・地震研究所・准教授)
廣瀬 慧(九州大学・マス・フォア・インダストリ研究所・准教授)