共同利用

レーザー同位体分離の実用化における量子ウォークの数理


種別 一般研究_短期共同研究
研究計画題目 レーザー同位体分離の実用化における量子ウォークの数理
研究代表者 鈴木 章斗(信州大学工学部・准教授)
研究実施期間 平成29年7月24日(月)~ 平成29年7月26日(水)
研究分野のキーワード 量子ウォーク, スペクトル散乱理論, 同位体分離, 量子制御, 直交多項式
目的と期待される成果 放射性廃棄物に含まれる核分裂生成物には,長期に渡って人間社会と地球環境に影響を及ぼす長寿命核種が存在する.このような核種を,安定または短寿命核種に変える消滅処理は,環境負荷の低減につながる重要な研究課題である.核種変換を効率的に行うために,廃棄物中の放射性の135Cs(半減期230万年)と安定同位体の133Csを精密に分離する必要がある.しかし,化学的性質や質量差の近いこれらの同位体分離は難しく,従来法より分離性能が高い同位体分離法の開発が望まれている.そこで,分子内部準位のカスケード励起を利用したレーザー同位体分離が横山らによって提案された.この方法では,従来法をはるかに上回る分離性能が数値計算で確認され,実用化に向けた研究が進められている.
このカスケード励起のダイナミクスを記述する数理モデルは,量子ウォーク(QW)である.この提案法が,高い分離性能を示す定性的根拠は,QW特有の「分布の線形的広がり」にあると考えられている.これまでは主に数値計算にたよって知見が深められてきたが,実用化に向けた理論設計においては,なお一層の理解が必要である. そこで, 本共同研究では以前から,IMIや統数研などで行ってきた研究会の内容をさらに発展させ,実験パラメータを設計する理論の数学的基盤を構築することを目的とする.既に何度か打ち合わせを行い, QWの長時間挙動を介してそれが実現可能であると期待されている.これまでは,長時間挙動を扱う数学の理論が不十分であったが,最近の理論の進展でスペクトル・散乱理論による解析手法が開発され,波動作用素を用いたQWの長時間極限分布の表現公式が得られている.この公式を用いることで,実験との比較が十分可能であると考えられる.また,直交多項式系を用いた計算も重要な役割を果たすことも明らかになっている.そこで,数学側からはスペクトル・散乱理論や直交多項式の専門家, 実験工学側からはレーザー同位体分離の産業応用を目指す研究者でこの共同研究を行うことで,セシウム同位体分離の実用化に大きく寄与することができる.
組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
鈴木 章斗(信州大学工学部・准教授)
瀬川 悦生(東北大学情報科学研究科・准教授)
横山 啓一(日本原子力研究開発機構 ・研究主幹)
今野 紀雄(横浜国立大学大学院工学研究院・教授)
松江 要(九大IMI・助教)
成果報告書 【Web公開】成果報告書_共20170012.pdf