共同利用

主成分分析を用いた流れ場の形状最適化問題に関する数学的・数値的研究


種別 短期研究員
研究計画題目 主成分分析を用いた流れ場の形状最適化問題に関する数学的・数値的研究
研究代表者 中澤嵩(東北大学大学院情報科学研究科・助教)
研究実施期間 平成28年5月25日(水)~ 平成28年5月26日(木)
研究分野のキーワード 流体制御,数値流体力学,形状最適化,機械学習
目的と期待される成果 流体制御にはPassive ControlとActive Controlに大別される.具体的には,Passive Controlはパラメーターを固定した環境下で外力等を最適化し,Active Controlはアクチュエーターやセンサーの位置を最適化する等のために研究が行われている.このような大別において,形状最適化問題はPassive Controlに分類されるであろう.この形状最適化問題は,産業界において非常に重要な研究テーマの一つであり,特に航空工学分野において2次元翼断面の形状最適化問題は実用上の要請から非常に活発に行われている.しかしながら,安定性の制御を可能にする流れ場の形状最適化手法は未だ十分に確立されておらず,産業界への貢献を前提とすると,より汎用的な手法の確立が求められる.
申請者は,流れ場の安定性を制御する形状最適化手法の構築を目指して,平成26年度九州大学IMI共同利用研究・短期研究員「Navier-Stokes方程式が定義された空間において安定性理論を活用した形状最適化問題」の研究を行ってきた.ここでは,目的関数として固有値実部の最大値,主問題として定常Navier-Stokes問題とその固有問題を定義している.しかし,この最適化問題では,定常Navier-Stokes問題を主問題の一つとして定義しているが,高Reynolds数の乱流場では定常解を数値的に得ることが非常に困難であることが知られており,このことが高Reynolds数における当該手法の適用を妨げてきた.
本研究では,「定常Navier-Stokes問題を解く」という制約を解放するため,主成分分析(POD : Proper Orthogonal Decomposition)を用いる.具体的には,非定常Navier-Stokes問題を解いた後,時間平均流場の共分散行列の固有値問題を解く.そして,固有値と固有関数を用いて非定常Navier-Stokes方程式を縮約する.このようなPODの活用を前提とし,目的関数として共分散行列の固有値の総和,主問題として縮約された非定常Navier-Stokes問題を定義する.ここでの固有値とは,流れ場に対する擾乱の寄与率を表しているため,この最小化問題を解くことで,擾乱を安定化させる効果が期待される.
本研究は,平成26年度九州大学IMI共同利用研究・短期研究員「Navier-Stokes方程式が定義された空間において安定性理論を活用した形状最適化問題」と平成27年度九州大学IMI共同利用研究・短期研究員「流体力学の領域摂動問題における数学的・数値的研究」に続けて3年目となり,完成した暁には非常に汎用性のある流れ場の安定性を制御することが可能な形状最適化手法を構築することとなる.研究の終了後には,数学・数理科学を基礎技術とする本手法を流体工学や流体機器を製造する産業界へ適用を検討していく予定である.
組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
中澤嵩(東北大学大学院情報科学研究科・助教)