共同利用

感染症数理モデルの実用化と産業及び政策での活用のための新たな展開


種別 研究集会(I)
研究計画題目 感染症数理モデルの実用化と産業及び政策での活用のための新たな展開
研究代表者 西浦博(東京大学大学院医学系研究科・准教授)
研究実施期間 平成26年10月1日(水)~ 平成26年10月3日(金)
研究分野のキーワード 感染症、数理モデル、統計モデル、疫学、ウイルス学、公衆衛生、保健政策
目的と期待される成果  感染症流行の数理モデルは、生命現象・社会現象の数理モデルの中でも飛び抜けて豊富な歴史と理論を誇る。感染症流行をボトムアップ式に描写する技術を活用して流行に閾値が存在することが証明され、同事実はこれまでに予防接種を代表とする様々な保健政策に活用されてきた。
 しかし、モデルの妥当性は未だに十分とは言えない。モデリング対象が集団から個体へ、さらには個体から個体内の病原体の動態へとミクロ化が進む傾向に拍車がかかり、定量性や妥当性の確保が極めて困難になる傾向が強い。閾値以外の実用例として流行予測が挙げられるが、同課題は未だ流行ピーク前にリアルタイムで達成されていない。さらに、次第に数理モデルにアクセスすることが容易になった反動として、産業や社会の数理モデルに対するニーズが極端に細分化・高度化し、数理モデルで回答可能な課題の分別など科学コミュニケーションにも十分なケアを施すことが必要になってきた。
 現状を打破して、真に有用な感染症数理モデルの産業界・政策現場での活用を目指すには、目的志向型の(object-oriented)モデル構築・選択を客観的に実施することが望ましい。例えば、検疫や隔離のような特定の公衆衛生現場における課題について、どのような社会構造を想定したモデルでどのような入力情報・計算量で対応するのか、モデル化の方法論を統合し、各専門家・各産業界の代表が知恵をふり絞ることによって最適なモデリングアプローチを提案していくことが望ましい。本研究集会の目的は、この目的志向型の感染症数理モデリングを達成することであり、特に、モデル選択や問題解決型のモデル構築と解析のあり方に焦点を当てて議論を展開し,基礎理論を構築することである。数理的アプローチを専門とする参加者の中には、微分方程式系や確率過程の専門家や統計学的推定の専門家、計算機科学やバイオインフォマティックスの研究者などを専攻する者が含まれ、極めて多様な数理的専門性が混ざり合う学際的領域である。本研究集会は、数理的方法論に捉われずに、特定の感染症に関する現実的問題に対処するための最適なアプローチが何であるのか意見を闘わせる貴重な機会となる。
 同研究集会を実施することによって、問題解決型の数理モデリングの先駆けとなる基本的考え方を書籍として残すことができ、目的志向型の数理的アプローチ選択のあり方を推進する礎になることが期待される。また、異なる専門性の研究者が交流する機会を通じて、境界領域の共同研究をより活性化していく。
組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
岩見真吾(九州大学大学院理学研究院・准教授)
伊藤公人(北海道大学大学院人獣共通感染症リサーチセンター・准教授)
斉藤正也(統計数理研究所・特任助教)
竹内百合子(サノフィ株式会社サノフィパスツールワクチン事業部・疫学マネージャー)